HSP(Highly Sensitive Person)という言葉が広まったことで、「自分もそうかも」と感じる人が増えている。繊細さは才能だ、個性だと言われるが、現実には「生きづらい」の一言に尽きる。
俺はADHDの診断を受けているが、HSP的な特性もある。音や光に敏感で、人の感情に巻き込まれやすい。ADHDの衝動性とHSPの繊細さは一見矛盾するが、併存している人は少なくない。両方抱えていると、刺激を求めるのに刺激に弱いという矛盾した状態になる。
この記事では、HSPが感じる「生きづらさ」の正体と、俺なりの対処法を書く。
HSPが「生きづらい」と感じる場面
1. 職場の環境に消耗する
HSPにとって職場は過酷だ。蛍光灯の光、空調の音、同僚の会話、電話の着信音。定型発達の人は無意識にフィルタリングできるこれらの刺激が、HSPの脳には全て入ってくる。1日の終わりには精神的にぐったりしている。
俺の場合、オフィスの雑音が特にきつかった。ノイズキャンセリングイヤホンを導入してからは多少マシになったが、それでも消耗は避けられない。詳しくはHSP 仕事が続かないに書いた。
2. 人間関係で疲弊する
HSPは相手の感情を過度に読み取ってしまう。上司が不機嫌だと「自分が何かしたのか」と考え、同僚が落ち込んでいると自分まで落ち込む。他人の感情を自分のことのように感じてしまうため、人といるだけで消耗する。
飲み会や社交の場は特に苦手だ。大人数で騒がしい場所にいると、感覚がオーバーロードを起こす。帰宅後は何時間も一人で回復する時間が必要になる。「付き合いが悪い」と思われるのが嫌で無理して参加し、翌日寝込むというパターンを俺は何度も繰り返してきた。
3. ニュースやSNSで精神的ダメージを受ける
事件、事故、災害のニュース。SNSの炎上や誹謗中傷。HSPはこうした情報に対する感受性が非常に高いため、他人の苦しみを自分のことのように感じてしまう。ニュースを見た後に数日間引きずることも珍しくない。
俺はSNSの使用時間を意識的に制限している。特に寝る前のSNSは禁止にした。情報を遮断することに罪悪感を覚えるかもしれないが、自分の精神衛生の方が大事だ。
4. 自分の感情に振り回される
HSPは自分の感情も強く感じる。嬉しいことは人一倍嬉しいが、悲しいことは人一倍悲しい。ちょっとしたことで涙が出る、感動で胸がいっぱいになる。日常生活の中で感情が激しく揺れ動くため、精神的に安定していることが少ない。
HSPの生きづらさを軽減する方法
1. 刺激をコントロールする
- ノイズキャンセリングイヤホンを常備する
- 蛍光灯を暖色系の照明に変える(自宅)
- 人混みを避けるために時間をずらして行動する
- 寝室は徹底的に暗く静かにする
HSPは「刺激を減らす」ことが最大の自衛策だ。外部の刺激を物理的にコントロールすることで、消耗を大幅に減らせる。
2. 一人の時間を確保する
HSPにとって一人の時間は「充電」だ。これは孤立ではなく、脳がオーバーロードした状態から回復するために必要な時間だ。パートナーや家族に「一人の時間が必要」と伝えることは、わがままではない。自分のメンテナンスだ。
3. 自分の特性を受け入れる
HSPは治すものではなく、付き合っていくものだ。「繊細すぎる」と自分を責めるのではなく、「感受性が高い」と捉え直す。同じ映画を見ても人一倍感動できる、自然の美しさに心を動かされる、人の痛みに共感できる。これらは弱点ではなく、特性だ。
4. 境界線を意識的に引く
他人の問題と自分の問題を分ける練習をする。同僚が怒っているのは同僚の問題であって、自分の責任ではない。友人が悲しんでいるのに共感するのは構わないが、自分まで同じレベルで悲しむ必要はない。
この「境界線」は毒親育ちの人にとって特に難しい。親の感情のケアを強制されて育った人は、他人の感情を自分の責任だと感じてしまう。「自分が何とかしなければ」という強迫観念が染みついている。詳しくは毒親チェックリストに書いた。
5. 「繊細な自分」を否定しない
これが最も重要かもしれない。「もっと鈍感だったら楽なのに」と何度も思うだろう。でも、繊細さは生まれ持った脳の特性であり、変えることはできない。変えられるのは、自分の特性との付き合い方だ。繊細さを否定するのではなく、繊細さを前提とした生活設計をする。それがHSPの生存戦略だ。
HSPは「甘え」なのか
HSPに対して「甘えだ」「気にしすぎ」「考えすぎ」という声がある。特に日本の職場では、繊細さは弱さとして扱われがちだ。「みんな我慢しているのに」「もっとタフにならないと」。そう言われて自分を責めてきた人は多いだろう。
しかし、HSPは性格の問題ではなく脳の特性だ。感覚処理感受性(SPS)の研究によると、HSPの脳は非HSPの脳と比べて、感覚情報の処理が深い。つまり、同じ刺激を受けても脳が処理する情報量が多い。これは本人の意志でコントロールできるものではない。
「甘えだ」と言う人は、単にその刺激を処理する脳の容量が自分より大きいだけだ。逆に言えば、HSPの脳は「普通の人」が見落とす微細な情報を確実に拾えるという強みでもある。問題は、その特性を活かせる環境にいるかどうかだ。環境次第でHSPは最大の武器にもなれば、最大の弱点にもなる。
HSPとADHDの併存
俺のようにHSPとADHDが併存している場合、刺激を求める(ADHD)のに刺激に弱い(HSP)という矛盾した状態になる。新しいことに飛びつくが、その刺激で消耗する。人と会いたいが、会った後はぐったりする。
この併存は「HSS型HSP」とも呼ばれる(High Sensation Seeking + HSP)。好奇心は旺盛だが、その好奇心が自分を消耗させる。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感覚だ。
ADHDの特性についてはADHDで仕事が続かないで詳しく書いた。HSPだけでなくADHDにも心当たりがある人は、精神科で検査を受けることをおすすめする。自分の特性を正確に知ることが、生きづらさを軽減する第一歩だ。ADHDの場合は薬物治療という選択肢もあるため、診断を受ける価値は大きい。
参考情報:厚労省 こころの相談窓口
HSPの生きづらさが借金に繋がっているなら
HSPのストレスは、買い物や衝動的な消費で発散されやすい。自分へのご褒美、ストレス解消の散財。気づけばカードの請求が膨らんでいる。俺自身、借金500万円の一因にストレス消費がある。
ちらいふく(借金減額シミュレーター) — 無料・匿名で減額可能額が分かる。
ホワイトリーガル(無料の借金相談) — 弁護士による無料相談。
※ 上記は広告リンクです。相談は無料です。