ADHDを持つ人にとって、転職は切実なテーマだ。「仕事が続かない」「人間関係がうまくいかない」「衝動的に辞めてしまう」——こうした経験を繰り返すうちに、自信をなくしていく人は多い。
私自身、正社員(Webディレクター)を短期間で辞め、フリーランスとして5年間活動した後、派遣社員に転向した。典型的な「安定しないキャリア」だが、その過程でADHDの特性と仕事の相性について、身をもって学んだことがある。
この記事では、ADHDで転職を考えている人に向けて、転職を繰り返す原因と、自分に合った働き方を見つけるための考え方を書く。
ADHDで転職を繰り返す5つの原因
1. 衝動的に辞めてしまう
ADHDの衝動性は、退職の場面で最も厄介に働く。上司に叱られた日に「もう辞めます」と言ってしまう。嫌なことがあった翌日に退職届を出す。冷静に考えれば踏みとどまれる場面でも、感情に押し切られる。
私の場合、正社員時代に先輩から厳しく指導された時、「もうここにいたくない」という気持ちが全てを上回った。やりがいも楽しさも一度も感じないまま辞めた。
2. 人間関係の摩擦
ADHDの特性(不注意によるミス、多動による落ち着きのなさ、衝動的な発言)は、職場の人間関係に摩擦を生みやすい。本人に悪意はなくても、「空気が読めない」「同じミスを繰り返す」と思われることがある。ADHDの仕事のミスが多い原因と対策で対処法を解説している。
3. 過集中の後の燃え尽き
ADHDの過集中は、短期的には驚異的なパフォーマンスを発揮する。しかし、過集中の反動で無気力になる「燃え尽きサイクル」が起きる。新しい仕事に就いた直後は高いモチベーションで取り組むが、数ヶ月後にエネルギーが切れ、「もうやりたくない」と感じるようになる。
4. 退屈への耐性の低さ
ADHDの脳は新しい刺激を常に求める。ルーティンワークが中心の仕事では、退屈さに耐えられなくなる。「もっと面白い仕事があるはず」と転職を繰り返すが、どの仕事も慣れてくると退屈に感じるという悪循環に陥る。
5. 自己評価の低下
転職回数が増えるたびに、「自分はどこに行ってもダメだ」という自己評価が下がっていく。面接で退職理由を聞かれるのが怖くなり、転職活動自体が億劫になる。この悪循環を断ち切るには、ADHDの特性を理解した上でのキャリア戦略が必要だ。
ADHDに向いている働き方
「ADHDに向いている仕事」を探すより、「ADHDに向いている働き方」を考える方が実用的だ。
- 裁量が大きい:自分のペースで進められる仕事。管理されすぎると窮屈に感じる
- 変化がある:毎日同じ作業の繰り返しではなく、プロジェクトごとに内容が変わる
- 短期集中:長期の計画より、短いスパンで成果が出る業務の方が相性がいい
- リモートワーク:通勤のストレスがなく、自分の環境をコントロールできる
私がフリーランスとして5年間続けられたのは、まさにこの条件が揃っていたからだ。自分の裁量で動け、クライアントが変われば仕事内容も変わる。ただし、ADHDフリーランスが5年で崩壊した話で書いた通り、コスト管理と事業転換の判断はADHDの弱点が直撃する。
転職活動で気をつけること
衝動的な退職を防ぐ
- 「辞めたい」と思ったら、最低1週間は寝かせる
- 退職の意思を伝える前に、信頼できる人に相談する
- 次の仕事が決まる前に辞めない(経済的な余裕がある場合を除く)
転職理由の伝え方
面接では「前職の不満」ではなく「次にやりたいこと」を軸に話す。ADHDを開示するかどうかは個人の判断だが、障害者雇用枠を使う場合は開示が前提になる。一般枠で受ける場合は、「自分の特性に合った環境を探している」という表現が無難だ。
転職エージェントの活用
ADHDの人は、書類作成やスケジュール管理が苦手な場合が多い。転職エージェントを使えば、この部分を代行してもらえる。障害者手帳を持っている場合は、障害者専門の転職エージェントも選択肢に入る。
フリーランスという選択肢
ADHDの人にとって、フリーランスは魅力的な選択肢だ。私自身、フリーランス時代は5年連続で年間500万円の売上を維持できた。自分の鋳型で生活を固められるのが最大のメリットだった。
ただし、フリーランスには「自分で全てを管理する」という最大の弱点がある。
- 経理・確定申告を先延ばしする
- 事業環境の変化に対応できない(撤退判断の遅れ)
- 固定費の管理が甘くなる
- 収入が安定しないストレス
フリーランスを考えるなら、「副業として始めて、軌道に乗ってから独立する」のが最もリスクが低い方法だ。いきなり独立すると、収入が途切れた時のプレッシャーでADHDの衝動性が暴走するリスクがある。私のケースでは、FXに手を出して268万円溶かすという最悪の結末になった。
派遣という選択肢
私は現在、IT特化型の派遣会社を通じて働いている。正直に言えば、派遣という働き方はADHDの自分にかなり合っていた。
- 契約期間が区切られている:「永遠に続く」感覚がないので、精神的に楽。合わなければ契約満了で終われる
- 業務範囲が明確:正社員と違い、契約外の業務を振られにくい
- 人間関係がライト:深い付き合いを求められない
- 転職のハードルが低い:派遣先を変えるだけなので、退職のストレスが少ない
派遣に至るまでに20社以上落ちた経験があるが、IT特化型のエージェントに登録してからは比較的スムーズだった。スキルがあれば職歴のブランクや転職回数をそこまで問われないのが、派遣のメリットだ。
ADHDと転職、私のその後
正社員→フリーランス→単発バイト→IT派遣と遍歴を重ねた今、「どんな働き方が自分に合っているか」はかなり明確になった。
- 管理されすぎない環境が必要(正社員は合わなかった)
- コスト管理を自分でやるのは危険(フリーランスの失敗で学んだ)
- 短期プロジェクト型の仕事が合っている(派遣で実感)
- 対人ストレスは最小限に抑えたい
ADHDで仕事が続かない原因と対処法やADHDの診断を受けた体験談も参考にしてほしい。自分の特性を知ることが、転職成功の第一歩だ。
参考情報:厚生労働省 こころの相談窓口
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※ 精神的につらい場合は、一人で抱えずに専門機関に相談してください。厚生労働省 こころの相談窓口