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個人事業主や中小企業が事業資金を借りやすい主な選択肢8選【税理士法人社員監修】

事業資金

個人事業主や中小企業の社長として事業を営む中で、資金調達は避けて通れない重要な課題です。しかし、様々な理由により従来の方法で融資を受けられないケースも少なくありません。本記事では、そのような状況に直面した際に資金を借りやすい代表的な8つの選択肢について、筆者や知人の体験談を交えながら徹底的に解説していきます。

この記事を書いた人
真木 直人

フリーランスのWEBライター。緻密な取材と論理的な文章展開を武器に、他社への寄稿を行ってきたほか、複数のWEBサイト立ち上げに携わった。公正中立な論評も魅力。

▼この記事を監修した人
剣持 健人

西日本の税理士法人に勤務し、多くの顧客を担当。丁寧なヒアリングと確かな知識で、適正な確定申告を行ってきた。時には金融機関との交渉の席に着き、融資を引き出すことも。本質を捉える思考力と、幅広く深い見識が持ち味。

本記事では資金を借りやすい順に、8つ紹介します。

  1. 日本政策金融公庫
  2. 地銀・信用金庫
  3. 商工会議所
  4. それ以外のプロパー融資
  5. ファクタリング
  6. カードローン
  7. 家族・友人
  8. リスケジュール・債務整理・自己破産

通常の銀行融資が困難になった場合でも、諦める必要はありません。一方で最後の選択肢として、債務整理などの方法も含めています。

本記事では、以下の点を詳しく解説していきます。

  • 概要と特徴
  • 利用方法と手続きの流れ
  • メリットとデメリット
  • 注意点
  • 実際の利用体験談
  • 適している事業者のタイプ

さらに、これらを比較分析し、状況に応じた最適な選択肢の見つけ方についてもアドバイスします。

資金調達は事業の生命線です。ここで紹介する情報が、皆様の事業継続や成長の一助となれば幸いです。それでは、各パターンの詳細な解説に移っていきましょう。

1.日本政策金融公庫

日本政策金融公庫(日本公庫)は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が統合されて2008年に設立された政府系金融機関です。国民生活の向上に寄与することを目的として、個人事業主や中小企業向けの融資に注力しており、民間金融機関では対応が難しいケースでも融資を受けられる可能性があります。

a) 概要と特徴

  • 政府100%出資の政策金融機関
  • スタートアップ(創業融資)や小規模事業者向け融資に強い
  • 民間金融機関と比べて金利が低めに設定されている
  • 無担保・無保証人での融資も可能
  • 国や自治体が打ち出す政策の一環として、様々な融資枠が設定されている
  • 経営相談や事業計画策定支援なども行っている

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 事前相談:最寄りの支店に電話やウェブサイトで相談
  2. 必要書類の準備:決算書、確定申告書、事業計画書など
  3. 申込み:必要書類を揃えて正式に申し込み
  4. 審査:書類審査と面談による審査
  5. 融資実行:審査通過後、融資が実行される

c) メリット

  • 金利が低い
  • 担保や保証人が不要な場合がある
  • 創業間もない事業者や赤字決算の事業者でも融資を受けられる可能性が高い
  • 長期の返済計画が立てやすい
  • 事業計画の策定に求められるレベルが、民間の金融機関よりも易しいと言われている
  • 経営相談など、融資以外のサポートも充実

d) デメリット

  • 審査に時間がかかる(通常1〜2ヶ月程度)
  • 事業計画の提出や詳細な説明が求められる
  • 融資額に上限がある場合がある

e) 注意点

  • 事業の将来性や返済能力を重視した審査が行われる
  • 融資後も定期的な報告や面談が求められることがある
  • 特定の政策目的に沿った融資制度を利用する場合、使途に制限がある

f) 実際の利用体験談

私はフリーランスのブロガーとして活動していましたが、コロナ禍で広告単価が大幅に下落し、収入が激減しました。この危機を乗り越えるため、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用しました。地方銀行では創業年数が2年目と浅いことを理由に融資を断られていましたが、公庫では私のブログの実績と今後の事業計画をしっかりと評価していただき、200万円の融資を受けることができました。ただし、融資実行までに約2ヶ月かかったため、資金の準備には余裕を持って取り組む必要があると感じました。

g) 適している事業者のタイプ

  • 創業間もない、または創業予定の事業者
  • 小規模事業者
  • 担保や保証人を用意できない事業者
  • 長期的な視点で事業を展開したい事業者
  • 政策的に支援対象となる事業を行う事業者(例:地域活性化、技術革新など)

日本政策金融公庫は、民間金融機関では融資を受けにくい状況でも、事業の将来性を評価して融資を行う可能性が高い機関です。特に、創業期の資金調達や、新規事業の展開において有効な選択肢となるでしょう。ただし、審査にはある程度の時間がかかるため、資金需要の時期を見据えて早めに相談を始めることが重要です。

2.地銀・信用金庫

地方銀行(地銀)と信用金庫は、地域に根ざした金融機関として、地元の中小企業や個人事業主の資金需要に応える重要な役割を果たしています。大手銀行と比べて、より柔軟な対応が可能な場合があります。

a) 概要と特徴

  • 地域密着型の金融機関
  • 地元企業との関係が強く、地域経済への貢献を重視
  • 比較的小規模な融資にも対応
  • 融資以外のサービス(経営相談、ビジネスマッチングなど)も充実
  • 信用金庫は協同組織金融機関で、会員制度がある

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 取引開始:口座開設や日常的な取引から関係構築
  2. 事前相談:融資担当者と面談し、資金需要を説明
  3. 申込書類提出:決算書、事業計画書などの必要書類を提出
  4. 審査:財務状況や事業性の評価
  5. 融資実行:条件交渉後、契約締結と融資実行

c) メリット

  • 地域情報に精通しているため、事業環境の理解が深い
  • 担当者との綿密な関係の構築が可能
  • 融資以外の経営支援サービスが受けられる
  • 地域の商工会議所などと連携した支援体制がある
  • 大手銀行より融資条件が柔軟な場合がある

d) デメリット

  • 大規模な融資には対応できない場合がある
  • 金利が日本政策金融公庫より高めの場合がある
  • 担保や保証人を求められることがある

e) 注意点

  • 取引実績や関係性が重視されるため、日頃からの取引が重要
  • 地域や業界の動向に影響を受けやすい
  • 経営者の個人資産や個人保証を求められる場合がある

f) 実際の利用体験談

私は地元で部品工場を営んでいますが、設備導入の資金として地元の信用金庫から500万円の融資を受けました。大手銀行では相手にされませんでしたが、信金では親身になって相談に乗ってくれました。担当者が何度も店舗に足を運び、業務効率化についてや競合の状況なども細かくチェックしてくれました。その過程で、経営改善のアドバイスも多くいただき、結果的に事業計画の質が向上しました。融資実行後も定期的に工場を訪問していただき、経営状況をフォローしてくれます。金利は年2.5%でしたが、機動的な対応と継続的なサポートを考えると、信金を使ってよかったと感じました。

g) 適している事業者のタイプ

  • 地域に根ざした事業を展開している事業者
  • 中小規模の融資を必要とする事業者
  • 長期的な取引関係を構築したい事業者
  • 経営相談や事業支援を含めた総合的なサービスを求める事業者
  • 地域経済への貢献を重視する事業者

地銀や信用金庫は、その地域に精通しているため、地元の事情を踏まえた柔軟な判断が可能です。また、融資だけでなく、経営相談や取引先の紹介など、事業の成長をサポートするサービスも充実しています。ただし、担保や保証人を求められることもあるため、その準備も必要です。地域金融機関との関係構築は、単なる資金調達だけでなく、事業の持続的な成長にとって重要な要素となります。日頃からのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築いていくことが、将来の資金需要に備える上で有効な戦略となるでしょう。

3.商工会議所

商工会議所は、地域の商工業の総合的な改善発達を図り、社会一般の福祉の増進に資することを目的とした特別認可法人です。直接的な融資機関ではありませんが、中小企業や個人事業主の資金調達を支援する重要な役割を果たしています。

a) 概要と特徴

  • 地域の事業者を支援する公的な経済団体
  • 融資の斡旋や保証協会の利用支援を行う
  • 経営相談、セミナー開催、情報提供などのサービスを提供
  • 地域の金融機関や行政機関との強いネットワークを持つ
  • 会員制組織だが、非会員でも一部サービスを利用可能

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 商工会議所への相談:資金需要の内容を説明
  2. 適切な融資制度の紹介:状況に合わせた制度を提案
  3. 事業計画の策定支援:必要に応じて事業計画作成をサポート
  4. 融資の斡旋:適切な金融機関や保証協会を紹介
  5. 申込手続きの支援:必要書類の作成や提出をサポート
  6. フォローアップ:融資後の経営相談や支援

c) メリット

  • 無料で専門家による経営相談が受けられる
  • 多様な融資制度の中から最適なものを紹介してもらえる
  • 事業計画の策定や申請書類の作成をサポートしてもらえる
  • 地域の金融機関との橋渡し役となってくれる
  • 信用保証協会の保証付き融資の斡旋を受けられる

d) デメリット

  • 直接融資は行わないため、最終的な判断は金融機関次第
  • 会員でない場合、利用できるサービスが限定される場合がある
  • 地域や規模によってサービスの質や範囲に差がある
  • 手続きに時間がかかる場合がある

e) 注意点

  • 商工会議所は融資の保証や決定権を持たない
  • 相談内容によっては、会員になることを勧められる場合がある
  • 提供される情報や支援内容は一般的なものが中心
  • 業種や事業規模によっては、より専門的な支援機関を紹介される場合もある

f) 実際の利用体験談

私は飲食店を開業する際に、地元の商工会議所に相談に行きました。最初は、どの融資制度を利用すべきか全く分かりませんでしたが、経営指導員の方が丁寧に状況を聞いてくださり、私の事業に適した融資制度を紹介してくれました。特に助かったのは、事業計画の作成支援です。売上予測や資金繰り計画の立て方について、具体的なアドバイスをいただき、説得力のある計画書を作成することができました。また、信用保証協会の保証付き融資を利用する際の手続きもサポートしてもらい、スムーズに融資を受けることができました。融資額は700万円、金利は年1.5%で、設備投資に十分な資金を調達できました。その後も年会費を払って会員となり、定期的に経営相談を利用しており、商工会議所が事業成長の良きパートナーとなっています。

g) 適している事業者のタイプ

  • 創業間もない、または事業拡大期の中小企業・個人事業主
  • 経営相談や事業計画策定のサポートを必要とする事業者
  • 適切な融資制度や支援制度の情報を求めている事業者
  • 地域の経済団体や他の事業者とのネットワークを築きたい事業者
  • 融資以外の経営支援サービスも活用したい事業者

商工会議所は、直接的な資金提供者ではありませんが、中小企業や個人事業主にとって非常に有用な支援機関です。特に、どのような融資オプションがあるのか分からない場合や、事業計画の策定に不安がある場合には、最初の相談窓口として活用する価値が高いでしょう。

また、融資を受けた後も、経営改善や事業拡大のための様々なサポートを受けられるため、長期的な事業の成長と安定にもつながります。さらに地域の経済団体として、ビジネスネットワークの拡大にも役立つ可能性があります。商工会議所の支援を最大限に活用するためには、積極的に情報を求め、提供されるサービスを十分に理解することが重要です。また、可能であれば会員になることで、より幅広いサービスを受けられる場合が多いでしょう。

4.それ以外の民間銀行でのプロパー融資

プロパー融資とは、金融機関が独自の判断で行う融資のことを指します。ここでは、日本政策金融公庫や地銀・信用金庫以外の金融機関が提供するプロパー融資について解説します。

a) 概要と特徴

  • 都市銀行、地方銀行、信託銀行、ネット銀行などが提供
  • 各金融機関が独自の基準で審査を行い、融資条件を設定
  • 業種や事業規模、資金使途に応じた多様な商品がある
  • 信用保証協会の保証を利用しない融資も多い

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 金融機関の選定:自社に適した融資商品を提供する金融機関を探す
  2. 事前相談:融資担当者と面談し、事業内容や資金需要を説明
  3. 申込書類の準備:決算書、事業計画書、資金使途の詳細など
  4. 正式申込:必要書類を揃えて申し込む
  5. 審査:財務状況、事業性、返済能力などを総合的に判断
  6. 条件提示と契約:金利、返済期間、担保などの条件を確認し契約
  7. 融資実行

c) メリット

  • 資金使途や返済期間などで柔軟な対応が可能
  • 迅速な審査と融資実行(特にネット銀行)
  • 事業の成長性を評価する融資商品もある
  • 長期的な取引関係による融資条件の改善の可能性
  • 大型の融資にも対応可能(特に大手銀行)

d) デメリット

  • 一般的に金利が公的金融機関より高い
  • 担保や個人保証を求められることが多い
  • 業績や財務状況によっては審査が厳しい
  • 新規取引先の場合、融資を受けにくい場合がある
  • 金融機関によってサービスの質にばらつきがある

e) 注意点

  • 金融機関によって融資条件や審査基準が大きく異なる
  • 複数の金融機関に相談し、比較検討することが重要
  • 融資実行後も経営状況の報告が求められることが多い
  • 返済が滞ると、取引停止や担保権実行のリスクがある

f) 実際の利用体験談

私はIT関連サービスを提供する会社を経営していますが、事業拡大のために1500万円の資金が必要となりました。複数の金融機関に相談した結果、ある地方銀行のプロパー融資を利用することにしました。この銀行は、IT業界に詳しい審査担当者がおり、我々の事業モデルと成長性を的確に評価してくれました。融資条件は、金利年2.8%、返済期間7年で、個人保証は求められましたが担保は不要でした。審査から融資実行まで約3週間かかりましたが、その間、事業計画の精緻化について有益なアドバイスをもらえました。融資後も、定期的に担当者が訪問し、経営状況をチェックするとともに、業界動向や経営改善のヒントなども提供してくれます。金利は他の選択肢より若干高めでしたが、事業への理解度と継続的なサポートを考慮すると、総合的に見て良い選択だったと感じています。

g) 適している事業者のタイプ

  • ある程度の事業実績がある中小企業や個人事業主
  • 急速な成長を目指す新興企業
  • 特定の業界に特化したサービスを提供する事業者
  • 大型の設備投資や事業拡大を計画している企業
  • フレキシブルな融資条件を求める事業者

プロパー融資は、公的金融機関の融資と比べて柔軟性が高く、事業の特性や成長性を評価した融資が受けられる可能性があります。ただし、金融機関によって得意とする業種や融資の特徴が異なるほか、公庫や地銀・信金に比べると、融資の難易度が高いケースが多くあります。そのため、自社の事業に最適な金融機関を見つけることが重要です。銀行と良好な関係を築くことで、将来的な融資条件の改善や、金融機関のネットワークを活用したビジネスチャンスの拡大につながる可能性があります。

5.カードローン

カードローンは、事前に設定された借入限度額の範囲内で、必要な時に必要な金額を借り入れることができる融資サービスです。個人事業主が、急な資金需要に対応できる手段として利用することがあります。

a) 概要と特徴

  • 銀行やクレジットカード会社が提供するサービス
  • 事前審査で借入限度額が設定される
  • 必要な時に必要な金額だけ借入可能
  • 返済後は再度借入可能(リボルビング方式)
  • 個人向けと事業者向けの商品がある

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 申込:オンラインや店頭で申し込む
  2. 審査:個人の信用情報や収入を基に審査
  3. 契約:借入限度額、金利などの条件を確認し契約
  4. カード発行:専用カードが発行される
  5. 借入:ATMやオンラインで必要時に借入
  6. 返済:毎月の返済日に指定口座から自動引き落とし

c) メリット

  • 即日融資が可能な場合が多い
  • 必要な時に必要な金額だけ借りられる
  • 手続きが簡単で、繰り返し利用可能
  • 担保や保証人が不要な場合が多い
  • 小口の資金需要に柔軟に対応できる

d) デメリット

  • 金利が比較的高い(年利10%以上の場合も)
  • 借入限度額が比較的低い(数百万円程度が多い)
  • 個人の信用情報に基づく審査のため、事業用途での審査が厳しい場合がある
  • 借りやすさから、過剰借入のリスクがある
  • 事業用途と個人用途の区別が曖昧になりやすい

e) 注意点

  • 事業用途と個人用途を明確に区別する必要がある
  • 返済計画を立てて計画的に利用することが重要
  • 金利や手数料構造をよく理解する必要がある
  • 複数のカードローンを利用すると、総量規制の対象になる可能性がある
  • 遅延や延滞は個人信用情報に影響を与える

f) 実際の利用体験談

私はフリーランスのWEBデザイナーですが、創業当初に受注案件が取れず資金が枯渇し、カードローンを活用していました。

信金で事業者カードローンを申し込み、50万円の限度額で契約しました。金利は年14%でしたが、必要最小限の金額を借り入れ、売上金を受け取り次第すぐに返済するようにしていたため、実質的なコストは抑えられました。

特に助かったのは、クライアントからの入金が遅れた際の人件費や外注費の支払いです。数十万円を1週間程度借り入れることで、資金繰りを安定させることができました。

ただし、借りやすさから使いすぎてしまう危険性を常に意識し、毎月の収支管理を徹底していました。事業が軌道に乗った現在は、ほとんど利用していませんが、緊急時の備えとして契約は維持しています。

g) 適している事業者のタイプ

  • 個人事業主や小規模事業者
  • 資金需要の変動が大きい事業者
  • 短期の運転資金が必要な事業者
  • 季節変動のある事業を営む事業者
  • 緊急の小口資金需要がある事業者
  • 資金を借りる先がほかに見つからない事業者

カードローンは、その即時性と利便性から、小規模事業者の資金繰り改善に有効なツールとなり得ます。特に収入と支出のタイミングにズレがある場合や、急な出費が必要な場合に役立ちます。しかし、高金利であることや借りやすさから生じる過剰借入のリスクには十分注意が必要です。カードローンは、あくまでも短期的な資金調整の手段として位置づけ、長期的・恒常的な資金需要には別の融資手段を検討するべきでしょう。他方で、他に当たった全ての金融機関から融資を断られ、借りるあてがどうしても見つからない場合にも選択肢になり得るでしょう。また、事業用途と個人用途を明確に区別し、適切な経理処理を行うことが重要です。カードローンの利用は、財務管理の一環として慎重に管理する必要があります。そして、カードローンを利用すると「信用情報」に記載されます。保証協会からの保証などが新たに受けられなくなる恐れがあります。

6.ファクタリング

「ファクタリング」は日本ではまだそこまで知られていませんが、企業が保有する売掛金や受取手形をファクタリング会社に売却して即時に現金化する金融サービスです。これは厳密には融資ではなく、資金調達の一手段として多くの法人や個人事業主に利用されています。

a) 概要と特徴

  • 売掛金や受取手形を現金化するサービス
  • 銀行融資と異なり、負債にならない(オフバランス化が可能)
  • 審査は主に支払企業(債務者)の信用力を基準に行われる
  • 売掛金の回収リスクをファクタリング会社が負う
  • 手数料は通常、融資の金利より高めに設定される

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. ファクタリング会社への相談:利用条件や対象取引の確認
  2. 必要書類の提出:売掛金の明細、取引先情報など
  3. 審査:主に支払企業の信用調査
  4. 契約締結:買取条件(料率、期間など)の合意
  5. 売掛金の譲渡:対象となる売掛金をファクタリング会社に譲渡
  6. 資金受取:売掛金額から手数料を差し引いた金額を受け取る

c) メリット

  • 即日での資金化が可能
  • 資金繰りの改善に即効性がある
  • 貸借対照表上の負債にならない
  • 信用力の高い取引先がいれば、自社の業績に関わらず利用可能
  • 回収業務の軽減につながる

d) デメリット

  • 手数料が比較的高い(年率換算で10%以上になることも)
  • 取引先との関係に影響を与える可能性がある
  • 優良な売掛金から利用されるため、他の借入の担保が失われる
  • 後に金融機関で融資の審査を受ける際、頻繁に利用していると不利になる場合がある
  • 継続的に利用すると、本質的な財務改善が遅れる可能性がある

e) 注意点

  • 手数料など契約内容をよく理解する必要がある
  • 取引先への通知が必要な場合がある
  • 特定の取引先への依存度が高まる可能性がある
  • 短期的な資金繰り改善には有効だが、長期的な財務戦略としては慎重に検討すべき
  • 金融機関などからの印象が悪くならないよう、気を付ける

f) 実際の利用体験談

私は建設会社を営んでいますが、大口顧客からの発注増加、高額な工事のアフターケアの発生に伴い、一時的に資金繰りが厳しくなりました。その際、ファクタリングを利用して急場をしのぐことができました。利用したのは大手O社で、売掛金は2000万円分です。審査がスムーズで、申し込みから3日後には1940万円(手数料60万円)が口座に振り込まれました。利率は12%でしたが、資金繰りの逼迫度を考えると、仕方ないと判断しました。この資金で材料費と人件費を賄うことができ、おかげさまで事業を滞りなく続けることができました。ただ、ファクタリングによって多大な手数料が発生して会社の収支を圧迫したほか、のちに資金繰りの相談のために地銀を尋ねたところ、ファクタリングを頻繁に利用していたこともマイナス要因となり、融資が受けられないことがありました。一時的に資金をつなぐためなら良いかもしれませんが、ファクタリングを使う頻度やタイミングには注意が必要そうです。

g) 適している事業者のタイプ

  • 季節変動が大きく、一時的な資金需要がある事業者
  • 成長期にあり、運転資金需要が急増している事業者
  • 大企業との取引が多い中小企業
  • 銀行から融資を受けるのが難しい状況にある事業者
  • 運転資金が枯渇し今すぐ現金が必要な事業者
  • カードローン利用の信用情報を残したくない事業者

ファクタリングは、迅速な資金調達が可能で、一時的な資金繰りの改善に効果的です。特に、信用力の高い取引先との取引がある場合、自社の財務状況に関わらず利用できる点が大きな魅力です。

しかし、コストが比較的高いため、継続的な利用は慎重に検討する必要があります。また、優良な売掛金が減少することで、他の融資オプションが制限される可能性もあるため、総合的な財務戦略の中でバランスよく活用することが重要です。ファクタリングを検討する際は、単なる資金調達の手段としてだけでなく、財務体質の改善や事業成長のための一時的な手段として位置づけ、長期的な事業計画の中で適切に活用することが望ましいでしょう。

7. 家族・友人

家族や友人からの借入は、個人事業主や小規模事業者にとって、資金調達の選択肢になります。公的機関や金融機関からの融資が難しい場合や、急に資金が必要になって融資が間に合わない際に、最終手段として検討されることが多いでしょう。

a) 概要と特徴

  • 家族(配偶者、両親、兄弟姉妹など)または友人から資金を借りる
  • 正式な金融取引ではないため、条件設定が柔軟
  • 担保や保証人が不要な場合が多い
  • 迅速な資金調達が可能
  • 返済条件も柔軟に設定できる可能性がある

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 家族や友人との相談:事業の状況と資金需要を説明
  2. 借入条件の協議:金額、金利(あれば)、返済期間などを決定
  3. 合意書の作成:トラブル防止のため、書面で合意内容を記録(推奨)
  4. 資金の受け取り
  5. 定期的な報告:事業の進捗や返済状況を報告(推奨)
  6. 返済:合意した方法で返済

c) メリット

  • 低金利または無利子で借りられる可能性がある
  • 審査や複雑な手続きが不要
  • 返済条件の変更など、柔軟な対応が可能
  • 信頼関係があるとお金がより借りやすい
  • 担保や保証人が不要な場合が多い
  • 迅速な資金調達が可能

d) デメリット

  • 借入可能額が限られる場合が多い
  • 人間関係に悪影響を与える可能性がある
  • 事業と私生活の境界が曖昧になりやすい
  • 返済が滞った場合のリスクが大きい(人間関係の悪化)
  • 税務上の取り扱いに十分注意が必要

e) 注意点

  • 可能な限り書面で契約を交わし、条件を明確にする
  • 事業用途であることを明確にし、適切な経理処理・税務処理を行う
  • 定期的に事業の状況や返済の進捗を報告する
  • 家族の資金状況にも配慮し、無理な借入は避ける
  • 返済計画を立て、確実に実行する

f) 実際の利用体験談:私は個人経営の学習塾の経営が行き詰まり、金融機関やカードローンから2000万円の借金をしていました。そしてこれ以上借りられず返済できなくなった時、実の妹から2000万円を借金しました。そのほかには自己破産以外の道がないという状況だったので、本当に助けられました。借りたお金で利率の高いカードローンや金融機関からの借入を優先して返済することができ、その後の返済状況がかなり楽になりました。借入条件は、10年間で毎月返済、金利は年1%と設定しました。妹との間で十分に話し合って法的効力のある契約書を作成し、返済計画を明記しました。この時、借入先と金額・利率を全て妹と家族にシェアし、明示したことで、事実を客観視することができ、また借金を抱え込んでいる過度な緊張がなくなりました。以後は、経営も軌道に乗り、5年が経過しましたが予定通りに返済を続けています。なお万が一のことがあった場合には、自身の生命保険金から返済に充てるように、息子に伝えてあります。

g) 適している事業者のタイプ

  • 創業間もない個人事業主や小規模事業者
  • 緊急の資金需要がある事業者
  • 金融機関からの融資が難しい状況にある事業者
  • 比較的少額の資金調達を必要とする事業者
  • 家族の理解と支援が得られる事業者

家族からの借入は、事業の立ち上げ期や緊急時の資金調達手段として有効です。しかし、返済できなかった場合に家族関係に多大な影響を与える恐れがあるほか、事業と私生活の境界が曖昧になりやすいため、慎重に検討する必要があります。

借入を行う際は、税務署から贈与であるとみなされて贈与税がされないように、契約書を作成することがとても重要です。そして、返済計画は明確にしておきましょう。また、定期的な事業報告を行うなど、お金を貸してくれた家族に対して理解と信頼を得るための努力、何より感謝の気持ちが必要です。

家族からの借入は、あくまでも一時的な手段と捉え、長期的には事業の収益性を高め、正規の金融機関からの融資を受けられるよう努力することが望ましいでしょう。

8.リスケジュール・債務整理・自己破産

リスケジュール、債務整理、自己破産は、事業が行き詰まった際の最終的な選択肢です。事業の継続が困難になった場合や、債務の返済が不可能になった場合に検討される方法です。

a) 概要と特徴

  1. リスケジュール(返済条件の変更)
    • 既存の債務の返済条件を変更する
    • 返済期間の延長や金利の引き下げなどを行う
    • 事業継続を前提とした対応
  2. 債務整理
    • 債務の一部免除や分割払いなどの交渉を行う
    • 任意整理、特定調停、民事再生などの方法がある
    • 事業の存続可能性に応じて選択する
  3. 自己破産
    • 裁判所に破産を申し立て、法的に債務を整理する
    • 原則として全ての財産を手放し、債務から免れる
    • 事業の継続は困難になる

b) 利用方法と手続きの流れ

  1. 専門家(弁護士や司法書士)への相談
  2. 財務状況の詳細な分析
  3. 最適な方法の選択
  4. 債権者との交渉(リスケジュールや債務整理の場合)
  5. 法的手続きの開始(必要な場合)
  6. 計画の実行と債務の返済または清算

c) メリット

  • 債務負担の軽減が可能
  • 事業継続の可能性を探れる(リスケジュールや一部の債務整理)
  • 法的手続きによる保護を受けられる場合がある
  • 債務から解放される可能性(自己破産の場合)

d) デメリット

  • 信用に大きな影響を与える
  • 事業の縮小や廃業が必要になる可能性がある
  • 個人資産にも影響が及ぶ場合がある
  • 将来の資金調達や取引、経済活動に制限がかかる可能性がある

e) 注意点

  • 可能な限り早期に専門家に相談する
  • 安易に選択せず、他の全ての選択肢を検討した後の最終手段とする
  • 法的手続きの場合、正確な情報開示と誠実な対応が必要
  • 経営者の個人保証がある場合、個人の債務問題としても対処が必要
  • 破産の場合、免責が認められるまで様々な制限を受ける

f) 実際の利用体験談

私の知人は、飲食店チェーンを経営していましたが、急激な事業拡大とコロナ禍が重なり、債務超過に陥りました。最初は銀行と交渉してリスケジュールを行い、返済期間の延長と金利の引き下げを実現しました。しかし、その後も業績が回復せず、最終的に民事再生法を申請することになりました。弁護士と公認会計士のサポートを受けながら、債権者との交渉と再生計画の作成を行いました。結果的に、債務の一部カットと返済条件の大幅な見直しが認められ、縮小した形ではありますが事業を継続することができました。ただし、この過程で取引先との関係悪化や個人資産の大半の処分など、大きな代償も払うことになりました。この経験から、財務状況が悪化した際の早期の対応の重要性と、専門家のサポートの必要性を痛感しました。

g) 適している事業者のタイプ

  • 債務の返済が困難になった事業者
  • 事業の継続が厳しい状況にある事業者
  • 債務超過に陥っている事業者
  • これ以上の事業継続が債務の増大につながる可能性がある事業者
  • 経営再建の可能性がある事業者(リスケジュールや債務整理の場合)

リスケジュールは信用情報に傷を付けることなく、相場でおよそ1年返済を猶予してもらったり、返済額を減らしたりすることができます。債務整理は債務の一部減免や返済条件の見直しなどができ、自己破産は裁判所に申し立てを行って借金を帳消しにしてもらえます(諸条件あり)。リスケジュールは借入先の金融機関へ、債務整理と自己破産は弁護士に相談する必要があります(収入条件等を満たせば無料の「法テラス」を利用することができます)。いずれにしても、これらの方法は事業と経営者の将来に大きな影響を与えるため、専門家のアドバイスを受けて十分な検討と経たうえで選択する必要があります。

リスケジュールを実行するのにはおよそ1ヶ月以上かかるのが一般的ですし、自己破産の手続きにも費用が掛かります。そのため、可能な限り早期に財務状況の悪化に気づき、対応することが重要です。また、これらの手続きを行う前に、事業モデルの見直しや経費削減、資産売却など、自助努力での改善の可能性を徹底的に探ることが大切です。また、これらの選択肢を取る場合でも、誠実な対応と関係者への十分な説明を心がけることが、将来再起する可能性を残す上で重要です。

その他の選択肢【10選】

また資金調達の手段をできるだけ挙げるとすると、次のようなものが考えられます。

  1. 補助金・助成金:
    国や地方自治体、各種団体が提供する返済不要の資金です。特定の条件を満たす事業や活動に対して給付されます。
  2. クラウドファンディング:
    プロジェクトや事業のアイデアをオンラインプラットフォームで公開し、多数の個人から小口の資金を集める方法です。
  3. ベンチャーキャピタル(VC):
    成長性の高いスタートアップ企業に投資する機関です。資金提供だけでなく、経営支援も行うことが多いです。
  4. エンジェル投資家:
    個人の資産家が、スタートアップ企業に投資する形態です。VCよりも早い段階で投資することが多いです。
  5. リース:
    設備投資の際に、購入ではなくリースを利用することで初期投資を抑える方法です。
  6. 売掛金担保融資:
    売掛金を担保として融資を受ける方法で、ファクタリングとは異なり、売掛金の所有権は移転しません。
  7. 株式型クラウドファンディング:
    一般の個人投資家から小口の出資を募り、株式を発行する方法です。
  8. メザニンファイナンス:
    負債と資本の中間的な性質を持つ資金調達方法で、事業拡大期の企業に適しています。
  9. P2Pレンディング:
    オンラインプラットフォームを通じて、個人や企業が他の個人や企業から直接借り入れを行う方法です。
  10. 事業売却(M&A):
    事業の一部または全部を売却することで資金を得る方法です。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合わせてじっくりと比較検討されてください。

以上で、8つの資金調達ルートについての詳細な解説とさせていただきます。これらの情報が、皆さんの資金調達の参考になれば幸いです。

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