2年間で268万円を失った。2019年に192万。懲りずに2020年も続けて76万。合計268万円。
FXの損失体験談はネットにいくらでもある。だが「ADHDの特性がどう作用して負けたのか」を構造的に書いた記事は見たことがない。これはそういう記事だ。同じ特性を持つ人が、同じ轍を踏まないために書く。
なぜFXを始めたのか——選民思想の正体
大学時代から松井証券で株をやっていた。周りが就活している横で「自分は労働で稼ぐ側にはならない」という謎の選民思想があった。今思えば、これ自体がADHDの「退屈で地道な作業を避ける」特性の変形だったのだろう。コツコツ働くより、一撃で大きく勝ちたい。その欲求がFXへの入口だった。
2018年頃、円安と物価高が来ると確信していた。この大局観は実際に当たっていた。だが大局観が正しくてもミクロのトレードで負ける。為替は「方向が合っていても、エントリータイミングとロット管理で死ぬ」世界だ。ADHDの脳は、まさにそのタイミングとロット管理が壊滅的に苦手だった。方向が合っているという確信が、「もっと張っていい」という衝動を正当化した。
ADHDの特性がFXを地獄に変えた5つのメカニズム
1. 損切りできない——損失確定の痛みに耐えられない脳
「ここまで来たら戻るだろう」。ADHDの脳は損失を確定させる行為を極端に嫌う。含み損が5万、10万、20万と膨らんでいく。損切りボタンを押す瞬間の痛みに耐えられず、画面を見ているだけだった。「確定させなければ、まだ負けていない」——この自己欺瞞が含み損を際限なく拡大させた。
2. チャートへの過集中——生活が崩壊する
PCを抱いたまま眠った夜がある。スマホを手にかけたまま2時間しか寝られなかった日が何日もあった。ローソク足の動きに過集中し、食事を忘れ、風呂に入らず、外に出ない。ポジションを持っている間、脳がチャートに完全にロックされる。色んな意味で死の手前にいたと思う。ADHDの過集中が「好きなこと」に向くと強みになるが、FXに向くと自殺行為になる。
3. 衝動エントリー——根拠なき発注
「今入らないと置いていかれる」。チャートが動いた瞬間に飛び乗る。分析もルールもない。「動いてるから入る」。ADHDの衝動性がそのまま発注ボタンに直結していた。冷静な時に「こういう条件が揃った時だけ入る」と決めても、チャートが動いた瞬間に全て吹き飛ぶ。
4. ルールの書き換え——自分との約束を自分で破る
「今日は5000円負けたらやめる」と紙に書いて貼る。5000円負ける。「いや、この局面は例外だから」。もう1万追加する。負ける。「もう少しだけ、次で取り返す」。気づいたら20万負けている。ルールを守れないのではなく、ルール自体を都合よく書き換えてしまうのだ。これが一番タチが悪かった。
5. あるだけつぎ込む——「余力を残す」概念の不在
口座に入っている金額=投入可能額。ADHDの脳には「余力を残して守る」という概念が機能しない。フルレバレッジで勝負し、負ければ追加入金。取り返したい衝動に従い、あるだけつぎ込む。これを繰り返して268万が消えた。「あと10万入れれば取り返せる」が、永遠に終わらない。
1日で20万溶けた日のこと
全体としてはじわじわ負けていくパターンが多かったが、1日で20万単位のお金が溶けた日もあった。画面の数字が赤くなっていく。手が震える。胃が締め付けられる。だが損切りボタンは押せない。「ここで切ったら20万が確定する」——その瞬間を確定させることが、どうしてもできなかった。
結局、強制ロスカットで確定する。自分の意思ではなく、証券会社のシステムに切られる形で終わる。毎回そうだった。自分で損切りした記憶がほとんどない。常にシステムに止められていた。
192万負けたのに翌年もやった理由
2019年に192万負けた。常識的に考えれば撤退一択だ。だがADHDの「取り返したい衝動」は常識を超越する。
「192万取り返せば全てチャラになる。あと少しで手法が完成するはずだ」——この思考が頭から離れない。睡眠中でも夢にチャートが出てくる。合理的に考えれば撤退。だがADHDの脳は合理性よりも衝動が勝つ。「次こそは」が永遠に続く。
2020年も続けて76万追加で溶かした。合計268万。軍資金は融資と月50万程度の売上だ。人の金で相場を張り、溶かした。この事実を書くのは今でも苦しい。
やめられたきっかけ——物理的に詰んだ
やめた理由は「成長した」でも「悟りを開いた」でもない。物理的に金がなくなっただけだ。入金できる金がもうどこにもなかった。口座残高がゼロに近づき、追加入金ができなくなって初めて止まった。
末期に友人と雑談していて、何気なく「やめなきゃいけないのは分かってるんだけど、まだやってるんだよね」と言った。友人は絶句した。5秒くらいの沈黙があった。あの沈黙は今でも覚えている。自分が異常な状態にいることを、他人のリアクションを通じて初めて認識した瞬間だった。
ADHDの人がFXをやるべきでない構造的理由
- 損切りできない → 含み損が膨張して強制ロスカット
- 過集中 → 生活基盤(睡眠・食事・人間関係)が崩壊する
- 衝動エントリー → 無根拠なポジションで負ける
- ルール書き換え → リスク管理が一切機能しない
- 取り返したい衝動 → 負けた直後にフルレバで突っ込む(最悪のタイミング)
FXで勝つために必要な「規律」「忍耐」「ルール遵守」「感情と行動の分離」は、ADHDが最も苦手とする認知機能そのものだ。相性が悪いのではない。構造的に不可能に近い。
268万の損失が教えてくれたこと
268万は高い授業料だった。だが一つだけ学んだ。「ADHDの私は、お金を増やすゲームに参加してはいけない。まずお金を守る仕組みを作るべきだ」ということだ。
今は借金減額診断を経て任意整理で利息を止め、堅実に返済している。華やかさはゼロ。だが268万を溶かすよりは遥かにマシだ。
FAQ
ADHDでも投資で成功している人はいるのでは?
いる。だがそれは「ADHDだから成功した」のではなく「ADHDの弱点を仕組みでカバーした上で、過集中という強みだけを活かせた人」だ。具体的には、自動積立のインデックス投資のように「判断の回数を最小化する」手法なら、ADHDの衝動性が入り込む余地が少ない。裁量トレード(FX含む)は最悪の選択肢だ。
FXの借金は任意整理できる?
FXの損失そのものは「借金」ではないが、FXの軍資金を借入(融資やカードローン)で調達した場合、その借入は任意整理の対象になる。私の場合も融資で入れた金をFXで溶かしたが、融資自体は任意整理できた。ただし「ギャンブル性の高い取引のための借入」は自己破産の場合に免責不許可事由になる可能性がある。任意整理なら問題ない。
FXや衝動買いで借金を抱えているなら、まず利息を止めることが先決だ。稼いで取り返そうとするな。
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参考:金融庁 投資についての注意喚起 / 法テラス(0570-078374)
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