セックスレスを理由に離婚する場合、慰謝料は請求できるのか。結論から言うと、セックスレスは離婚事由として認められるケースがある。ただし、慰謝料の金額は条件によって大きく変わる。
この記事では、セックスレス離婚の慰謝料相場、請求が認められる条件、そして証拠の集め方を整理する。
セックスレス離婚の慰謝料相場
セックスレスが原因の離婚における慰謝料は、おおよそ50万〜200万円が相場とされている。金額は以下の要素で変動する。
- セックスレスの期間 — 1年未満は認められにくい。3年以上だと高額になりやすい
- 拒否の態度 — 一方的な拒否か、話し合いの努力があったか
- 婚姻期間の長さ — 長いほど慰謝料は高くなる傾向
- 子供の有無 — 子供を望んでいたのにセックスレスだった場合は増額要因
- 浮気の有無 — セックスレスの一方で浮気していた場合は大幅増額
200万円を超えるケースもあるが、それはセックスレスに加えてモラハラや浮気などの複合的な要因がある場合に限られることが多い。
セックスレスで慰謝料が認められる条件
セックスレスだけでは必ずしも慰謝料が認められるわけではない。裁判で認められるには、以下の条件を満たす必要がある。
- 正当な理由なく性交渉を拒否していること — 病気や障害による場合は「正当な理由」に該当する可能性がある
- 相当期間が経過していること — 一般的に1年以上。裁判例では数ヶ月では認められにくい
- 拒否された側が改善を求めたこと — 話し合いやカウンセリングの提案など、努力した記録があると有利
- 婚姻関係が破綻したこと — セックスレスが原因で夫婦関係が修復不可能になったという因果関係
特に重要なのは3番目だ。「言い出せなかった」「雰囲気で察してほしかった」では弱い。具体的に改善を求めた記録(LINEやメール)があるかどうかが分かれ目になる。
セックスレスの定義
日本性科学会の定義では、「特殊な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」をセックスレスとしている。
ただし裁判実務では、1ヶ月程度では離婚事由として認められることはまずない。実務上は少なくとも1年以上のセックスレス状態が必要とされている。
なお、性交渉の頻度が極端に少ない場合(年に数回など)もセックスレスに準じて扱われることがある。完全にゼロでなくても、一方が苦痛を感じている状態であれば離婚事由になり得る。
セックスレスの証拠の集め方
セックスレスは「なかったこと」の証明が必要になるため、証拠集めが特に難しい。以下の方法が有効だ。
- 日記 — 拒否された日時、状況、相手の言葉を記録する。手書きの日記が最も証拠能力が高い
- LINEやメール — 改善を求めたメッセージとその返答。「今日もダメだった」などの記録
- カウンセリングの受診記録 — 夫婦カウンセリングや性カウンセリングに通った記録
- 心療内科の診断書 — セックスレスによる精神的苦痛(うつ、不眠など)の診断
- 別室就寝の写真 — 別々の部屋で寝ていることを示す証拠
証拠は継続的に記録することが重要だ。単発の記録よりも、数ヶ月〜1年以上にわたる記録の方が説得力がある。
セックスレスの原因と向き合う
慰謝料を請求する前に、セックスレスの原因を考えることも大切だ。原因によって対処法と慰謝料請求の可否が変わる。
拒否する側の原因
- 性欲の減退 — 加齢、ストレス、薬の副作用(抗うつ剤など)
- パートナーへの嫌悪感 — モラハラや家事分担の不満が積み重なった結果
- 産後のホルモン変化 — 出産後に性欲が戻らないケース
- セクシュアリティの問題 — 性的指向の変化や無性愛(アセクシュアル)
- 過去のトラウマ — 性的暴力の経験がフラッシュバックする
拒否される側の対応
一方的に「拒否する側が悪い」とは言い切れないケースも多い。拒否される側にも振り返るべき点がある。
- 日常生活でのコミュニケーションは十分か
- 家事・育児の負担が偏っていないか
- 相手の体調やストレスに配慮しているか
- 性交渉を「義務」として求めていないか
これらを振り返った上でなお改善が見込めない場合、離婚を視野に入れることは合理的な判断だ。
裁判例から見るセックスレス離婚
セックスレスを理由とした離婚裁判では、以下のような判断基準が用いられている。
- 婚姻期間10年・セックスレス5年のケース — 妻側からの改善要求に夫が応じなかったことを重視し、慰謝料150万円を認容
- 新婚3ヶ月からのセックスレス — 婚姻当初から性交渉を拒否し続けた事案で、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断
- 性交渉の頻度が年2〜3回のケース — 完全なゼロではないが、一方が苦痛を訴えていたため離婚事由として認定
裁判所は「単にセックスがないこと」ではなく、「夫婦間のコミュニケーション全体が破綻しているか」を見る。セックスレスは婚姻関係の破綻を示す一つの指標として扱われている。
セックスレス離婚の手順
- 証拠を集める(日記・LINE・カウンセリング記録。最低3ヶ月以上)
- 弁護士に相談する(法テラスなら無料相談可能)
- 離婚調停を申し立てる(家庭裁判所。費用は数千円)
- 調停不成立なら裁判(弁護士費用は30〜60万円が相場)
協議離婚で合意できるのが最も早くて安い。だが、セックスレスを認めない相手も多いため、調停や裁判に進むケースも少なくない。弁護士を入れることで、感情的なぶつかり合いを避けて冷静に条件交渉ができる。
なお、弁護士費用は着手金20〜40万円+成功報酬が一般的だが、法テラスの立替制度を使えば月5,000〜10,000円の分割払いが可能だ。経済的な理由で弁護士を諦める必要はない。
セックスレスとモラハラの関係
セックスレスの背景にモラハラがあるケースは多い。日常的に人格を否定されている状態で、性的な親密さを持ちたいと思えるだろうか。
モラハラが原因でセックスレスになっている場合、慰謝料はセックスレス+モラハラの両方で請求できる。この場合の慰謝料は100万〜300万円と高額になる傾向がある。詳しくはモラハラ夫の特徴と対処法も参照。
FAQ
妻側からセックスレスで慰謝料請求できる?
できる。セックスレスの慰謝料請求に性別の制限はない。実際に、夫が拒否して妻が請求するケースも裁判例に存在する。男性が拒否する理由としては、仕事のストレス、EDの進行、妻への恋愛感情の喪失などが挙げられるが、いずれも「正当な理由」には当たらないと判断されることが多い。
セックスレスだけで離婚は成立する?
成立する場合がある。民法770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると判断されれば離婚が認められる。ただし、セックスレスの期間が短い場合や、改善の努力をしていない場合は認められにくい。
参考情報:法テラス(無料法律相談) / 裁判所
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